揚げ裏

屋根の「裏」は意外に重要
揚げ裏(あげうら)とは上げ裏とも書き、下から軒(のき。外壁より外に出ている屋根)を見上げた部分のことを指します。軒裏・軒天・軒天ボード・軒天井・軒裏天井とも呼ばれます(上から見下ろした場合は軒裏、下から見上げた場合は軒天など、区別されることもあります)。ベランダやバルコニーの裏面も揚げ裏です。また、階段の裏側(段裏)や庇の裏側も上げ裏と呼ばれることがあります。本項では名称を揚げ裏に統一します。
揚げ裏は次のような材料で作られます。
  • ケイカル板
  • フレキシブルボード
  • スラグ石膏板 など
いずれも燃えにくい材料となっています。特に屋根部分の裏側は面積も大きく、垂木や野地板などが見えないようにカバーする以外に、延焼防止という重要な役割を担っています。
揚げ裏がある場合、下から炎が上がってきても、耐火性の高い揚げ裏であれば押しとどめることができます。揚げ裏がない場合はすぐに屋根裏に火が回ってしまうことを考えると、その重要性が理解できるでしょう。
また、揚げ裏がない屋根は軒内部が雨ざらしということになります。雨は上からだけでなく横からも降りますし、風で上に吹き上がることもあります。隙間があれば雨水は浸入することを考えると、揚げ裏はなくてはならないものと言えそうです。
さらに、揚げ裏は建物の美観にも影響します。建物は見上げることが多いので、揚げ裏は目に飛び込んでくる要素になるからです。

揚げ裏の材料

揚げ裏にはボード(軒裏材)を利用するものと、外壁と一体になっているものがあります。外壁がサイディングの場合は、揚げ裏にボードが使われます。外壁がモルタルなどで施工されている建物では、揚げ裏が外壁と一体になっていることが多いでしょう。マンションやアパートなどがこのタイプに該当します。
ボードタイプには、次のような材料が使われます。

ケイカル板
ケイカル板とは「ケイ酸カルシウム板」の略称です。耐火性・耐水性に優れているため、現在では揚げ裏の材料として主流を占めるようになっています。耐水性が高いことから洗面所などでも使われます。塗装する場合もありますが、様々な模様を貼り付けたもの(デザインボード、デザインパネル)や板に色が付いたカラーケイカル板なども使われています。
有孔ボード
通気性のために小さな穴を開けた有孔ボードもよく使用されます。内部のカビや腐食を防いで屋根を長持ちさせますが、穴のないタイプより価格は高くなります。
フレキシブルボード
セメントに繊維質を混ぜたもので、繊維強化セメント板とも呼ばれます。耐水性・防カビ性に優れるほか、高強度な材料でもありますが、重量がケイカル板の2倍近くあるため、下地によっては施工できないことがあります。
金属板
ガルバリウム鋼板やアルミスパンドレルの揚げ裏もあります。金属のため耐火性が高いのが特徴で、木目などをプリントしたものも登場しています。ただし、耐火性が高い分、他のボードに比べて高価になります。
スラグ石膏板
スラグ(溶融した金属から分離するかす、鉱滓[こうさい])と石膏を混ぜたもので、エクセルボードとも呼ばれています。ケイカル板より安価ですが耐水性がないため、塗装を行う必要があります。
ベニヤ板、合板
かつてよく使用されていたのがベニヤ板や合板です。合板に模様が付けられたシートを被せたものは化粧合板、化粧板と呼ばれます。合板は経年劣化で貼り合わせの接着力が低下して表面が剥がれてしまうだけでなく、耐久性・耐火性・耐水性などで他の材料に劣るため、近年ではあまり使われません。しかし、その安価さゆえに、現在でもあえて使用されることがあります。
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