シーラー
- 仕上がりだけでなく耐久性にも影響する下塗り材
- シーラーとは外壁塗装や屋根塗装などで使われる下塗り材のことです。シーラーという名称はシール(seal:密封する、塞ぐ、コーティングする)に由来します。
- シーラーの役割
- シーラーには次のような役割があります。
- 上に塗る塗料と下地との密着性を高める
- 塗料の吸い込みを抑え、ムラを防ぐ
- 下地を補強する
- ①密着性
- シーラーを塗ると接着剤のような効果を発揮し、塗膜が剝がれるなどの劣化を抑えられます。下地と上に塗る塗料を密着させるために一工程増えるというのは面倒に思われるかもしれませんが、劣化を予防し、塗料の性能を十分に発揮させるために下塗りは欠かせません。
- ②ムラを防ぐ
- 木材やコンクリートなど、塗料を吸い込みやすい部材にそのまま中塗り材を塗るとムラになってしまい、そのムラは上塗り材にも影響を与え、仕上がりが悪くなってしまいます。しかし部材に適したシーラーを用いると、最初にシーラーが下地に吸収されるため、塗料は吸い込まれなくなります。これにより、滑らかな仕上がりを実現できます。
- ③下地補強
- 下地に浸透するシーラーには、劣化した下地を補強する役割も期待できます。ただし、劣化状況によって効果を発揮する種類が異なるので、下地が劣化している場合はよく吟味して使用するシーラーを決める必要があります。
シーラーの種類
シーラーにはたくさんの種類がありますが、大別すると水性タイプと油性タイプ(溶剤タイプ)に分類されます。
水性タイプは、シーラー内の水分が蒸発すると塗膜が形成されます。水性タイプは劣化の少ない下地に向いています。これは劣化が激しい下地は吸収性が高すぎて浸透性が悪くなり、補強効果が低くなりがちなためで、そのような下地には油性タイプが向いています。
油性タイプはシーラーに含まれた溶剤が揮発すると塗膜が形成されます。浸透性が高く豊胸性能にすぐれているので、劣化の激しい下地にも対応できます。また、乾燥時間も短いのが特長です。
水性タイプは臭いが少なく、室内塗装にも用いやすいという特長があります。油性タイプは臭いが強いのがデメリットですが、先に述べたような長所があるので、要は使い所です。ちなみに塗装工事ではシーラーと同じタイプの上塗り塗料を使うのが一般的ですが、一部に異なる組み合わせに対応した製品もあります(後述)。
- プライマー、フィラーとの違い
- シーラーと同じように下地処理に用いられる塗料にプライマーとフィラーがあります。
プライマーはプライマリー(primary:最初の)という英語が語源になっていると言われており、最初に塗る塗料を意味します。シーラーが下地に吸収されることで機能を発揮するのに対し、プライマーは塗布することで下地と塗料の密着性を高めるという違いがあるとも言われていますが、実際にはほぼ同じものとして扱われており、厳密な定義もありません(シーラーは接着プライマーと呼ばれることもあります)。
フィラーはfiller(詰め物、目止め)が語源で、モルタル外壁のクラック(ひび割れ)や凸凹などを埋めるのに使われます。
現在、戸建ての塗装工事で広く使われているのは微弾性フィラーです。微弾性フィラーはシーラーとフィラーの機能を併せ持つ下塗り材で、シーラーのように下地に浸透してムラを防ぎ、塗料の密着性を高めるだけでなく、クラックを埋めることもできます。また、微弾性フィラーには上塗り塗料の種類を選ばないというメリットもあります。