破風は「山形状に取り付けられる板」「三角形の部分、またはその斜め部分に打ち付けられた板」などと表現されることもあります。破風に取り付けられる板なので破風板とも呼ばれますが、屋根の構造によっては破風が存在しないものもあります。
ちなみに「妻側」がイメージしにくければ、「三角屋根の端の、雨樋の付いていない面」と考えればピンと来るのではないでしょうか。破風板の延長上にあり、雨樋が付く部位は「鼻隠し」と呼ばれます。鼻隠しは雨樋を取り付ける基礎部分にもなっています。
まず、屋根は建物から張り出しているので、側面や下部からの強風には弱いという性質があります。破風板を設置することで屋根を強風から保護することができます。また、破風板には屋根裏に侵入する雨や風を防ぐ効果があります。屋根自体に傘のように雨から壁を守る機能がありますが、破風板には雨から建物を守る機能を強化する働きがあると言えるでしょう。 また、破風板には屋根の構造部分(垂木)を隠す役割があります。これには美観を向上させる効果があるだけでなく、雨漏りを防ぐ役割も同時に担っているということができます。
最近ではシンプルな破風板が主流になっていますが、以前は様々な意匠を凝らしたものも多く見られました。現在でも神社・仏閣には豪華な破風板を備えているものが数多くあります。
さらに破風板には防火の効果もあります。火災の際は、窓から吹き出した炎が上に広がっていきます。破風板に厚みのある木材などを使用すれば、炎をせき止める効果があるので火が屋根裏に回るのを遅らせることができ、耐火性のある材質にしておけば防火性を向上させることもできます。