障泥板

雨仕舞いのための板の一種
障泥板(あおりいた)とは、棟(大棟)と屋根面が接する部分に屋根葺材を押さえて取り付けられる長い板のことです(障泥は泥障と書かれることもあります)。神明(しんめい)造りの社殿の屋根の棟、檜皮葺(ひわだぶき)や杉皮葺(すぎはだぶき)、銅板葺(どうばんぶき)などの屋根に設けられます。障泥板は外から見えるため、外観の構成要素にもなります。神棚の中には、障泥板まで再現されているものもあります。
障泥板と同様に棟に取り付けられる部材に、貫板(ぬきいた)があります。障泥板と貫板は確かに形状や設置される場所には近いものがありますが、基本的に役割が異なります。障泥板の下には屋根が差し込まれ、水が内部に浸入しづらくなっています。障泥板は雨水を誘導して排水を促すために設置されますが、貫板は屋根材などを固定するために使われます。貫板が棟に設置される場合は棟板金が上から被さり、釘を打つなどして固定されます。したがって貫板は棟板金に覆われ、施工後は外から見えなくなります。
名称の由来
鞍に垂らして馬の汗や蹴上げる泥を防ぐ馬具のことも障泥(あおり、泥障とも)と呼びます。泥をさえぎる(障)という意味ですが、この障泥が障泥板の由来だと言われています。馬の両脇腹を挟む馬具と棟の両脇に取り付けられる障泥板は、確かによく似ています。
ちなみにトラックの荷台の囲い部分もアオリ(バタ板)と呼ばれています。アオリは開閉するようになっているので、荷台の後ろからだけでなく横からも容易に荷物を下ろすことができ、閉じれば積んだ荷物を押さえることも可能です。もしかしたら、このアオリも馬具の障泥に由来しているのかもしれません。
雨押さえの効果
先述したように障泥板は棟の両脇に取り付けられ、屋根の接合部や隙間から雨水が浸入するのを防ぎます。ただし、障泥板は雨水をシャットアウトする防水処理とは異なり、雨水を適切な方向に誘導し、排水の経路を整える仕組みとなっています(こうした発想は「雨仕舞い」に共通しています)。もし障泥板がなければ、雨水が屋根材の隙間などに溜まり、長期的には雨漏りを引き起こしたり、建物の耐久性に悪影響を及ぼすことが考えられます。
石山寺の多宝塔
棟と屋根面の接する部分に設けられるのが障泥板ですが、例外もあります。滋賀県の石山寺には多宝塔があります。一見すると二重塔のようなのですが、実は一重目(一回部分)は裳階(もこし、庇状の構造物)となっており、その上にはお椀を伏せたような白漆喰塗りの亀腹(かめばら)が載っています。この亀腹と檜皮葺の屋根の間に障泥板が設けられているのです。四面の屋根に饅頭を押し付けたような形になっているため、障泥板は直線ではなく、美しい曲線を描いています。
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